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リテーナーって何?矯正治療後の後戻りと保定について
「子どもの頃に矯正治療をしていたけど、装置をサボっていたらガタガタになってしまった」
このようなお話し、聞いたことはありませんか?
実際に歯列矯正には、歯並びの「後戻り」と言うものがつきものであり、これを最小限にするために使用するものこそが「リテーナー」になります。
今回は、後戻りと保定、リテーナーについて説明し、また後戻りしてしまった場合の対処法についてお伝えします。
後戻りと保定、リテーナーについて
後戻り
矯正治療で動かした歯は、特に治療直後は下の状態に戻ろうとする力が働きます。
これを「後戻り」と言います。
また矯正治療後の後戻りだけではなく、矯正治療後の成長や加齢、歯周病の進行などに伴い歯並びが変化する可能性があります。
例:
・年齢とともに下の前歯が昔よりガタガタになってきた
・こともの頃に矯正し治療していたが、かみ合わせが以前と少し変わってしまった
保定
矯正治療で歯を動かし終わった後、後戻りや歯の望ましくない移動を最小限にすために歯の位置を安定させることを「保定」と言います。
矯正治療の2年間は特に後戻りのリスクが高いと言われています。
そのため長期間の治療や歯並び全体の治療後は、2年間またはそれ以上の保定を行うことが一般的です。
リテーナー
保定期間中、歯の位置が安定するまで使用する装置を「リテーナー」と言います。
リテーナーの種類
リテーナーにはつけ外し式のものと固定式のものがあります。
一般的に使用されるものはつけ外し式のもので、プレートタイプ(プラスチックとワイヤーでできたもの)と透明のマウスピースタイプなどがあります。
プレートタイプリテーナー
・標準的に使用されているリテーナー
・裏側にプラスチック(レジン)、表側にワイヤーまたは透明の固定具がついている
・かみ合わせの面が覆われていないため、かみ合わせの違和感を感じにくい
・定期的なメンテナンスが必要で、変形・ゆるみによって歯が移動する可能性がある
・使い始めは、裏側のレジンのため発音しづらい
クリアリテーナー(マウスピースタイプ)
・透明のマウスピースタイプ
・目立ちにくく、比較的違和感が少ない
・歯並び全体を覆っているため後戻りはしにくいが、一度歯が動いてしまうと入らなくなる
・かみ合わせの面を覆っているため、かみ合わせの違和感があったり歯ぎしりで壊れてしまうことがある
舌側リテーナー(固定式リテーナー、FSW)
・前歯の裏側に細いワイヤーをつけて、半永久的に固定するもの
・後戻りの防止効果が大きい
・虫歯、歯周病になりやすい
固定式のリテーナーはご自身で装着時間を管理しなくても良い・効果が確実確実などのメリットがある反面、プラークや歯石がつきやすく虫歯・歯周病のリスクが上がることも事実です。
せっかく歯並びが綺麗になっても虫歯や歯周病で健康と見栄えを損ねては意味がありません。
それぞれの管理方法やご自身の生活習慣に合わせて、どのリテーナーを使用するか担当医とよく相談して決める必要があります。
リテーナーの使用方法
取り外し式リテーナー
・治療直後から1年程度は終日(飲食時とハミガキの時以外)、その後は夜間に使用する
・後戻りしやすい最初の2年間は必須で使用し、その後は可能な範囲で続ける
・ハミガキの際に流水と歯ブラシで掃除する
・夜間の歯ぎしりがある場合、ナイトガードの併用も検討する
固定式リテーナー
・毎日のハミガキ
・定期的なメンテナンス
リテーナーの注意点
・装着時間・装着方法を守らないと、後戻りしてしまう
・変形・破損・紛失に注意する
・レジンは熱で変形しやすいため、装着したままのお湯の飲用や高温での保管は避ける
・リテーナーを装着していても、後戻りの可能性はある
・リテーナー終了後は、多少の後戻りまたは加齢に伴う歯並びの変化があることを理解しておく必要がある
後戻りしてしまった場合はどうすれば良い?
矯正治療後に後戻りしてしまった場合、どうすれば良いでしょう?
後戻りが軽度で、リテーナーがしっかりと入る場合
リテーナーをそのまま使用することで多少回復する可能性がある
後戻りが前歯に限局していて、リテーナーは入らない場合
かみ合わせや見た目がそれほど気にならなければ、その状態でもう一度リテーナーを製作し、それ以上の後戻りを防ぐことができます。
すでに動いてしまった歯並びを再び綺麗に戻したい場合には、再矯正が必要になります。
多くの場合、前歯の部分矯正やマウスピースでの比較的短期間の治療で改善することができます。
かみ合わせ全体が大きく変わってしまった場合
奥歯を含めてかみ合わせが大きく変わってしまった場合、保定が不十分であった可能性や、また、成長や顎の関節の影響により矯正治療終了後に噛み合わせが大きく変わってしまうこともあります。
原因を見極め、包括的な再治療を行うことも検討する必要があります。
まとめると、
・基本的には、取り外し式のリテーナー(プレートタイプリテーナーまたはクリアリテーナー)を2年間使用して保定を行う
・後戻りリスクが高い場合は、定期的なメンテナンスを条件に固定式リテーナーも検討する
・夜間の歯ぎしりが強い場合は、ナイトガード(歯ぎしり用マウスピース)の併用を検討する
・リテーナーや歯並びに問題が生じた場合、速やかに担当医に相談する
などの点を覚えておくと良いでしょう。
せっかく矯正治療を行って綺麗になった歯並びを崩すことなく、なるべく長い間維持できるようにしっかりとリテーナーを使用しましょう。
著者

林 在娟(りん ぜよん)
御茶ノ水林矯正歯科 院長
略歴
大阪大学歯学部
歯学博士(大阪大学)
日本矯正歯科学会 認定医






