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矯正後に「まだ気になる・後戻りした」場合は?歯列矯正と再治療
矯正の相談をしていると、「以前、矯正治療をしたが後戻りが気になる」、「治療が終わったけど思っていた仕上がりではない」、「まだ気になるところがある」という理由から再治療を検討されている方も多いとお見受けします。
「10代に一度矯正治療をして、20〜30代に後戻りが気になって再治療」といったケースは決して珍しいものではありません。
また中には「非抜歯での治療後に、仕上がりや見た目が思っていたものと違う・うまく噛めない」といった悩みで相談に来られるケースもあります。
これらの場合、改善のためには再治療もしくは修正治療を行うことになります。
今日は、歯列矯正の再治療が必要なケース、費用、期間などについて詳しくご説明します。
矯正の再治療が必要なケース
まず、どのような場合に矯正の再治療が必要になるのでしょうか。
歯並びを大きく改善した後、一部に軽度の後戻りが生じることは、ある程度自然なことであり機能的には問題にならない場合が多いです。
また、加齢や歯周病などによって歯列に移動が見られた場合、必ずしも再治療の対象にはならないこともあります。
特に下の前歯はガタガタなどが非常に再発(後戻り)しやすい上、加齢に伴い未治療・治療済みの方ともに歯並びに変化が見られやすい部位です。
ただし、中にはかみ合わせの機能的な問題が見られたり、治療方針自体を大きく見直す必要がある場合もあり、再治療によって機能面や満足度が大きく改善されるケースもあります。
再治療が推奨されるケース・そうではないケースをまとめると以下の通りです。
再治療を検討すべきケース
・後戻りによる見た目が気になり、再治療をご希望されている
・かみ合わせが悪くなり、かみづらい・喋りづらい
*例:前歯がかみ合っていない
・希望していた治療結果ではない、治療途中でご希望の仕上がりイメージが変わった
*例:非抜歯で治療していたが、実際に歯並びを整えてみた結果思っていたより口元の前突間が気になってしまい、口元をしっかりと後ろに下げたくなった(非抜歯→抜歯矯正)
再治療が必ずしも必要ではないケース
・歯のガタガタ・ねじれの軽度の後戻り
・軽度のすき間
・加齢・歯周病に伴う自然な変化
再治療の費用・治療期間
再治療の費用は治療の範囲・治療内容によって大きく異なります。
部分治療・短期間で対応可能なこともあれば、通常の歯列矯正と同じように一から費用・治療期間が発生する場合もあります。
一般的によく見られる再治療の事例と、それぞれの費用・治療期間の例をご紹介します。
前歯のガタガタの軽度の後戻り
一番よく見られる再治療の事例です。
後戻りの原因には
・リテーナーを使用していなかった
・使用していたが後戻りしてしまった
・加齢や歯周病により歯並びが変化してしまった
などのケースが多いです。
多くの場合、前歯の部分矯正により改善が見込まれます。
上の前歯または下の前歯の部分矯正を行う場合、費用は約20〜40万円が目安となります。
*一度目の治療を受けたクリニックで再治療を行う場合、リテーナーの使用期間中(治療終了後2年)であれば装置代が減免されることがあります。
軽度の後戻りであれば、再治療は数か月で終了することが多いです。
加齢や歯周病により歯並びが変化してしまった場合、全身状態や歯周病の進行具合によっては治療できる範囲と内容が制限される可能性があります。
すき間の後戻り
前歯のすき間が空いてきた場合、前歯の再治療を行い、裏側に細いワイヤーをつけて固定する方法が推奨されます。
費用・治療期間は前歯の部分矯正と同様です。
奥歯のすき間が空いてきた場合、見た目への影響や機能面を考慮して再治療を行うか担当医と相談することをおすすめします。バンド(奥歯につける金属の装置)を使用していた場合、装置を外した後もしばらく隙間が残っている場合があります。
舌の大きさが原因ですき間が生じている場合、後戻りのリスクが高いため再治療の際には対策についてよく相談しておく必要があります。
非抜歯から抜歯矯正へ変更するケース
矯正治療の開始前には検査・診断を行い、担当医から治療終了後のシミュレーションや複数の治療法に対するメリット・デメリットを説明を行うのが一般的です。
口頭の説明や横顔のシミュレーション・歯並びの3Dシミュレーションなどを作成してなるべく実際の結果に近いイメージをお伝えするようにしていますが、治療が必ずしも計画通りに進むとは限りません。歯や骨の状態、使用する装置の種類などで多少のずれが生じる可能性は十分あります。
結果的に、「治療が終了したが、想像していたイメージと違う」、「口の閉じにくさや噛み合わせが気になる」といったこと起こる場合もあります。
また、治療前の説明が不十分であった場合や、説明を聞いて納得して治療を選択した場合でも、ご自身の想像されていた仕上がりと実際の治療結果に相違が生じてしまうことも決して珍しくありません。
よく見受けられるのは、歯を抜かずに(非抜歯で)矯正したけど
・前歯のかみ合わせが悪いままである
・思っていたより口元が前突していて見た目が気になる
・口が閉じづらい
・終了後は満足していたけれど、時間がたってやはり抜歯してでも口元を下げたいと考えるようになった
といったケースです。
非抜歯での治療終了前に同じクリニックで抜歯による再治療を行う場合、治療費は一部減免される可能性があります。
治療期間に関しては治療方針や歯の移動方向が大きく変わることから、追加で数年がかかる可能性があります。
非抜歯の治療終了後(または終了前)に他院で抜歯による再治療を行う場合、または装置の種類を変更して一から治療を再開する場合、通常の費用・治療期間がかかる可能性が高いです。
いずれの場合も、再治療の原因や治療内容によって治療の範囲・費用・期間などが大きく異なってきます。
また、長期間の矯正治療や再治療では歯根吸収のリスクも無視することはできません。
まずはご自身の担当医と、元のクリニックへの通院が困難な場合には新しいクリニックでの矯正医とご相談の上、納得できる治療方法を決めていく必要があります。
著者

林 在娟(りん ぜよん)
御茶ノ水林矯正歯科 Lim Orthodontic Clinic 院長
略歴
大阪大学歯学部
歯学博士(大阪大学)
日本矯正歯科学会認定医






